先日おこなわれたドイツはヴッパータールから来日中のバイオリニスト加久間景子さんとリハーサル。
場所は今は亡き恩師の自宅。
先生のレッスン部屋は僕が子供の時に扉を開けた当時のまま。
この部屋では数多くの弟子たちがそれぞれの色濃い時間を積み重ねてきた。
澱というか、そのまま部屋から抜けきっていない「空気」を感じる。今、そこのソファに先生がいるんじゃないか、目をつぶると今にもレッスンが始まるんじゃないか、と。
ヴッパータール交響楽団で37年間アシスタントコンサートマスターを務められた加久間さんは僕の恩師、中島和彦先生とも深い親交がある。(ソナタの夕べと題されたコンサートシリーズを先生と続けられていた)
不思議なご縁がある加久間さんとの共演も昨年に続き2度目。
リハーサルでは「繊細な」様々な音楽的なやり取りがあるが、常に「二人の音楽を創る」意識がある。室内楽という「一つの音楽」を共に創る中にもしっかりと「個」が存在する。お互いを尊重する。演奏の中に大空のような「受け入れる」心の余白が生まれる。僕は自由に羽ばたく鳥になれる。
今は亡きドイツの恩師はレッスンで僕が弾き終えた後「必ず」聞いてきた言葉を思い出したり。
「自由な感覚を持ってるかい?」
…忘れられない一日でした。