木漏れ日の下で

ピアニスト 末永匡 オフィシャルブログ

りゆうがあります

長女がケラケラと笑いながら読んでいた本。図書館から借りてきたらしい。タイトルは「りゆうがあります」。


理由かぁ…


…今日レッスンで生徒が素晴らしい室内楽を聴かせてくれた。とてもシンプルな作品。ピアノは音数が少なく決まった音形で進んでいく。


色んなことを考え選曲した小さな作品。シンプルな作品。


けどね、そこに深い室内楽の感覚があるんだよね。弾くのは簡単かもしれない。けど室内楽はその尺度で難しさを測れない。


弾きごたえだけではなく「感じごたえ」がある室内楽という世界。突き詰めればソロも同じなんだけど。複数の人で創る音楽の喜びは格別で、ソロの世界とはまた違う、それは似て非になる感覚。


生徒の音楽から「声」が聞こえ、それはまるで共演者に、その場にいる人みんなに話しかけているようでした。


結局は「急がば回れ」というか、何かを学びたければ必ず歩むべきものが存在する。避けることはできないシンプルな作品。その中にどれだけのものが在るのか?それを知らなければ(感じなければ)複雑な曲なんて到底掘り下げることはできないよ。


どんな作品にも敬意と愛を。


今は亡き僕の恩師たちが教えてくれた大切な感覚。それを改めて感じさせてくれた今日の生徒の演奏。弾き終えた後の喜びに満ちた表情がずっと残っています。


音楽って素晴らしい。