木漏れ日の下で

ピアニスト 末永匡 オフィシャルブログ

現代音楽も古典も同じ。違いなんてない。

 作曲家の友人に誘われこちらのイベントのために母校(桐朋)へ。

「作曲公開講座:現代フランスのピアノ音楽について」

 「理論ピアノ」とは桐朋独自のもので、専門が作曲科でもピアノも主科と同様に学べるというもの。単なる副科ではなくダブルメジャーのように学べる。大変だと安易に想像できるけど「音楽を学ぶ上で極めて理想的なもの」と強く感じます。その逆があってもいいですね。

 フランスはリヨンから来たヴィシャール氏の素晴らしい演奏の他、公開レッスンでの興味深い刺激的なお話はとても勉強になりました。ホールでは作曲家の鷹羽先生と25年ぶりに再会。貫禄とオーラに圧倒され。そしていつも親しくさせてもらっている作曲家の加藤先生森山先生が。そして学生時代から知っている懐かしい桐朋の先生方。

 学生たちの素晴らしい演奏に感動を隠せず。(いつ練習してるんだろう?)質疑応答でヴィシャール氏が語った「現代音楽も古典も何も違いはない」という言葉に強い共感を覚え。これまでいろいろと現代曲を弾いてきたけれど「音と向き合う」道を探求すればするほど、時代という時の差はさほど重要ではなくなってくるように感じるのです。

《曲目》
Olivier Messiaen: Mode de valeurs et d'intensités, Île de Feu 1
György Ligeti: Étude Désordre
Pierre Boulez: Incises
Debussy: Reflets dans l'eau
Tristan Murail: Cailloux dans l'eau, Estuaire II. Au mélange des eaux, Mandragore

 
 昨年12月に作曲の加藤先生が呼んでくださり、高校生対象の講義をすべく桐朋を訪れたばかりだったので、この学校に再訪できたことが幸せでした。「こんな空気で育ったんだなぁ」と自分の中に在る桐朋のDNAを感じたり。

 この企画はぜひ今後も続けてほしいし「他の音大生も呼んでボーダーレスに学べる場」として提供してくれたら嬉しい。超絶刺激的で豊かな時間だから。確かドイツはフランクフルトの音大で作曲家のラッヘンマン氏を呼んで「GOT LOST」のレクチャーがあったとうっすら記憶が。ソプラノの角田裕子さんと『近江の春びわクラシック音楽祭2018』で共演したのが懐かしい。本当にエキサイティングだった。

 昭和音大でもあればいいなぁと遠い目をして思ったり。いやはや、楽しい時間は多くを語ってしまいますね。