木漏れ日の下で

ピアニスト 末永匡 オフィシャルブログ

《コンサートのお誘い》プレゼンテーション -現代の作品-そのXLVII(48)

この度、プレゼンテーション-現代の作品-そのXLVII (48)に出演させていただきます。今までも何度か出演し毎回素晴らしい作品の出会いがありました。歴史あるこのシリーズで演奏できることを光栄に思います。

▼これまでの出演について

tdsuenaga.hateblo.jp


僕にとって現代音楽(現代アート)は人間(己)を見つめ、人間の内側(己)を解放するという「人間表現の根本原理に触れる」世界。もちろんそれはベートーヴェンやバッハなどの世界も同様です。今回はこちらの2曲を演奏予定。

・山口恭子「青桐(改訂初演)」
・増本伎共子「鎮魂歌 -独奏ピアノのために-(1980年)Lamentation」

ここ最近は現代曲に浸る日々。当日どのような言葉や感情が溢れるかぜひその世界をご期待いただければと思います。また、加藤真一郎や森山智宏など素晴らしい作曲家の方々の作品も演奏されクリエイティブに溢れた時間となることでしょう!僕も楽しみにしています!

「今を生きる私たち」だからこそ聴いていただきたいと思っています。日本で素晴らしい音楽作品が生まれる瞬間をぜひご体感ください!

▼詳細はチラシをご覧ください
主催者 音楽文化協議会
日時  9月27日(水)19時開演
場所  杉並公会堂 小ホール
問合せ info.presen.music@gmail.com

「プレゼンテーション」の第1回演奏会は、1968年、「日本現代歌曲の夕べ」として東京で開かれ、松平頼則、松葉良、石井五郎、伊藤隆太、塚谷晃弘などの作品が歌われた。彼らは、日本の伝統的語法を生かし、現代的感覚をもつ音楽を作曲したいと考え、それ以来、ほぼ毎年、新作の発表を行った。その後、新たな同人も加わり、次世代の作曲家たちへその伝統が受け継がれている。

今回は、<招待作品>として、増本伎共子の作品をお届けする。雅楽能楽をはじめとする日本の伝統芸能への造詣も深い同氏の音楽世界にあらためて耳を傾けたい。その独自の響きと同人たちの作品が織りなすプログラムをどうぞお楽しみください。
ピティナ・コンサートのサイトより〜

こうやっちゃってもいいベートーヴェン


先日アトリエコンサート無事終演しました。「ホールの熱量を目の前で」をコンセプトに始めた自宅アトリエでのコンサート。今回は追加公演もあり計3回公演。プログラムはベートーヴェンプーランクを中心としたもの。

ここ3〜4年間これまでの人生で最もベートーヴェンとバッハの楽譜を見て対峙している。ベートーヴェンピアノソナタ、ピアノを含んだ室内楽曲、交響曲、そして弦楽四重奏。バッハはほとんどの鍵盤楽曲にヨハネ受難曲やマタイやら。これ以上ないくらい楽譜と音楽と対峙し「自分の心に問い続ける」この数年間。楽譜を「見る」というより「楽譜を読書」する感覚。そしてそれは今も続いている。

 月並みな言い方だけど楽譜ってめちゃくちゃに面白い。強烈に面白い。
それに反応する心も然り。最高に面白い。

それらを続けていると楽譜が単なる紙面に感じなくなり、立体的な街並みのように見えてくる。その街には様々な人たちが生活を営み声が行き交い感情に溢れる。記譜されている全ての音符や文字が生きているように見える。今はこんな感じに書いてるけれど明日にはまた別の感覚が。

そして、実際に弾いて練習することでその世界はもっとリアルな感覚を持って心に入ってくる。痛さや苦しさ、不安に恐怖、喜びや解放、そして愛と死。

「楽譜を見て探索する世界」「弾いて全身全霊で向き合う世界」その二つの世界が必要不可欠。どちらかだけでは「実」が伴わず。

そんな中、妻のクラリネットの音色が年齢とともにグラデーション豊かになってるなぁ、と感じています。なんというか「声みたいに話すように」吹いてる。「こうやっちゃってもいいじゃない」みたいな適度な脱力感が「音楽を楽しんでる」感を増しているのかもしれない。そんな感覚がベートーヴェンの中にあるといいなぁと自分の演奏に思ったり。

お客様に心から感謝申し上げます。
次回のアトリエコンサートはフランス歌曲がテーマです。

珈琲

 

シンガポールに行っていた生徒さんから頂いたお土産。コーヒー好きにはたまらないです。部屋中に漂う良い香り。素敵な気分転換の時間となりました。

少し前になりますが、生徒たちからは試験でのベートーヴェンの採点がトップだったことやコンクール通過などのお知らせが。

こういうお知らせを書くと良いことづくしのように感じますがそんなことはなかれ。みんなこれまでにも苦しいことや悔しいことがたくさんありました。多くの失敗の上に一つの成功があるわけです。

最近の傾向として、何かトライしたことが(コンクールだけでなく日頃の練習でも)すぐに結果に直結しないとすぐにやめてしまう、という状況を多く目にします。しかしほとんどのことは続けていくことでしか芽が出ないし分かりません。YouTubeやインターネットなどが悪いとは「決して思わない」けれど、何かを得たいと思った時にすぐに手に入る環境はいざという時に「時間をかける、待つ」ということに我慢できなくなるのでは、という気さえしてしまうのです。上達や変化に近道なんてものはありません。

コーヒーでも飲んで静かに音と向き合いたいものです。さてラフマニノフと明後日のコンサートで控えているベートーヴェンを弾こうかな。

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朝の収穫

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今年ようやく実ったブラックベリー。それと時期外れのイチゴ。他にはトマトと紫蘇。

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ブラックベリーはたくさん生っているのでこれからも楽しみ。そのままヨーグルトに入れても美味しいね。妻は「ジャムを作るよ」と。

とにかく暑い。熱い。アツい。
心頭滅却しても火は結局熱し。

そんな中ハイドン弦楽四重奏67番の2楽章を聴いてはこの透明度の高い響きに感動。少しばかり涼しさをもたらしてくれるといいんだけど…そんなことないね。

ハイドン:弦楽四重奏曲第67番ニ長調『ひばり』Haydn:String Quartet No.67 in D major "The Lark" Op.64-5 Hob.3-63 - YouTubeyoutu.be


蝉も元気に鳴き始めました。
頑張って乗り切りたいものです。

大学の講義でとても嬉しかったこと

ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第3番。

生き生きとしていて弾き手にも聴き手にもワクワク感を与えてくれる、現在学生たちと取り組んでいる作品の一つ。

ピアノの学生が欠席しパートナーのいないヴァイオリンの学生から「相手がいなくても講義に参加したい」と連絡が。

僕は自分のレッスンに対して「常にオープン、刺激的かつ自由に、共に学び共に教え合う」を基本的な考えとしていつも思っているので、こういう気持ちは本当に嬉しい。

この学生とはシューベルトを取り組んでいたので、結局他の室内楽グループと一緒にベートーヴェンのヴァイオリンソナタ3番を。

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初見でピアノ譜の内声部に参加してもらったり、ベートーヴェン弦楽四重奏ピアノソナタとの比較をしながらディスカッションにも積極的に参加してもらい何とも有意義な時間となりました。

ベートーヴェン 弦楽四重奏曲 第6番》
BEETHOVEN String Quartet No. 6 in B-flat major (Op. 18, No. 6) Score - YouTube

ベートーヴェン ピアノソナタ 第7番》
Beethoven: Piano Sonata No. 7, Arrau (1964) ベートーヴェン ピアノソナタ第7番 アラウ - YouTube

ずっと言い続けていることだけど、レッスンを受けることだけでなく、聴講として参加する、またはその輪に入り「共に学ぶことの大切さ」を改めて感じているところです。気づきの視野の広がりが全く違う。

さて、本日の大学での講義はプーランクの六重奏。これもまた素晴らしい作品…!
Sextet for Piano & Winds, Op. 100: I. Allegro vivace - YouTube

全ては上達のために《ベヒシュタイン特別レッスン受講生急募!》


全ては上達のために、

そのために必要なこと、

しっかりと向き合う時間。

 

この度、急遽《夏の3ステップ》と称して、段階的な確実な向上を目的とした特別レッスンがベヒシュタインセントラム東京(日比谷)で企画されました。今回の3回はそれぞれ第35、第36、第37回目となります。

 

今までと違うのは、あえて各回の間隔を狭めることで「テンポよく明確な課題と目的を持って取り組むことができる」ところ。単発、連続、または複数枠、そしてソロや室内楽など受講形態は自由です。

 

コンクール、コンサート、留学、確かな変化や上達を望まれる方はレベル年齢関係なく、是非ご参加いただければ大変嬉しく思います。

 

皆様のご参加はもちろん、ご友人、お知り合い、生徒さんなどご興味がある方がいらっしゃいましたらご無理のない範囲でお知らせ(&情報拡散にご協力)いただければ幸いです!急遽企画されたので第1回目が2週間後の7月15日ということもあり、申し込みは記載されているベヒシュタインジャパンだけでなく末永に直接ご連絡いただくことも可能です。

 

夏の良き目標と刺激としてぜひご活用ください。

皆様からのご連絡をお待ちしています!

言葉や音に含まれるもの


レッスンで交わされる無数の言葉と音。

 

先生という立場の人間から発せられるものは自身の経験から滲み出てくるもの。少なくとも恩師たちはそうであり、そうありたいと願う僕がいる。五感を通した「人生経験」が「知識」に命を与える。

 

経験とは単純なものではなく、極めて複雑な成り立ちでできている。

 

それはとても「尊い」もの…

 

交わされる言葉と音はその背景をまとっている。

命の一部と言っての過言ではない。

 

レッスンというのはそれらが無数に交わされている場所。

 

先生から伝えられている全てを学びたくて必死にしがみついていた学生時代を思い出す今です。