先日アトリエコンサート無事終演しました。「ホールの熱量を目の前で」をコンセプトに始めた自宅アトリエでのコンサート。今回は追加公演もあり計3回公演。プログラムはベートーヴェンとプーランクを中心としたもの。
ここ3〜4年間これまでの人生で最もベートーヴェンとバッハの楽譜を見て対峙している。ベートーヴェンのピアノソナタ、ピアノを含んだ室内楽曲、交響曲、そして弦楽四重奏。バッハはほとんどの鍵盤楽曲にヨハネ受難曲やマタイやら。これ以上ないくらい楽譜と音楽と対峙し「自分の心に問い続ける」この数年間。楽譜を「見る」というより「楽譜を読書」する感覚。そしてそれは今も続いている。
月並みな言い方だけど楽譜ってめちゃくちゃに面白い。強烈に面白い。
それに反応する心も然り。最高に面白い。
それらを続けていると楽譜が単なる紙面に感じなくなり、立体的な街並みのように見えてくる。その街には様々な人たちが生活を営み声が行き交い感情に溢れる。記譜されている全ての音符や文字が生きているように見える。今はこんな感じに書いてるけれど明日にはまた別の感覚が。
そして、実際に弾いて練習することでその世界はもっとリアルな感覚を持って心に入ってくる。痛さや苦しさ、不安に恐怖、喜びや解放、そして愛と死。
「楽譜を見て探索する世界」「弾いて全身全霊で向き合う世界」その二つの世界が必要不可欠。どちらかだけでは「実」が伴わず。
そんな中、妻のクラリネットの音色が年齢とともにグラデーション豊かになってるなぁ、と感じています。なんというか「声みたいに話すように」吹いてる。「こうやっちゃってもいいじゃない」みたいな適度な脱力感が「音楽を楽しんでる」感を増しているのかもしれない。そんな感覚がベートーヴェンの中にあるといいなぁと自分の演奏に思ったり。
お客様に心から感謝申し上げます。
次回のアトリエコンサートはフランス歌曲がテーマです。