木漏れ日の下で

ピアニスト 末永匡 オフィシャルブログ

身近だけど遠いベートーヴェン

舞台「No.9-不滅の旋律-」の再演が発表されてから早1ヶ月。


公式ホームページではキャスト&ピアニストのビジュアルが公開されましたね。


こちらからご覧ください。(公式ホームページより)
http://www.no9-stage.com/cast.html


告知の動画も公開され、それを見た時には鳥肌が立ちました…!




脚本を務められている中島かずきさんとお話しさせて頂くたびに、その膨大な知識量に驚かされます。


音楽大学の図書館でもベートーヴェンのコーナーにある書籍数は群を抜いて多い。(バッハも多いですね)ベートーヴェンという人物像、人間関係、人生と芸術の関り、想像を絶する偉業の数々、挑戦、闘い、社会、楽器等、言い出すときりがないですが「ベートーヴェンという人間、芸術作品を知ろうとすること」そこにはまるで「巨大な建築物の細かな部品一つ一つを解体し、その複雑極まりない構造を紐解いていく面白さ」があります。


少し専門的な話になるけれど、ベートーヴェンピアノソナタの構造もまさにそれかと。


ティーフを最小単位に分解し、楽曲の中でどう利用されているか、どう生かされているか、全ての音楽的要素は有機的に関わっている。美しいメロディーやハーモニーだけでなく「構造、構築の美しさ、巧みさ」に驚愕させられるのです。


楽譜を見てるだけで、その興奮は止むことがありません。全ての細部に強い意志を感じる。


ピアノソナタ


こんなにも身近に存在するものなのに、その後ろに壮大な世界が広がり未踏の地さえ存在するのではとも思わせる。


人間とは?という解があるのかないのかわからないけれど、それを「問わせる引力」のようなものが存在する芸術の世界。


僕はベートーヴェンの音楽を始め、あらゆる芸術作品にそれを思うのです。