木漏れ日の下で

ピアニスト 末永匡 オフィシャルブログ

なぜベヒシュタインでのレッスンなのか?《9月25日(土)ベヒシュタイン特別レッスン受講者募集》

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株式会社ベヒシュタイン・ジャパンの特任講師として携わらせていただき早5年。

 

ビューローやリスト、ドビュッシーなど他にも歴史的な偉大な芸術家たちに愛され続けてきた名器。「しかしなぜこんなにも愛されて続けてきたか?」これには確かな理由があります。

 

現在、世界中のピアノの在り方について各シーンで問題提起されています。理由の一つとしては「ピアノという楽器はそれぞれ固有の魅力(響きや音色など)があるにも関わらず、その多様性が活かされていない」ことが挙げられるでしょう。もちろんこれだけではありません。演奏者自身が問題意識を持っていないことも事実です。

 

「メーカーを挙げろ」と言われればたくさん挙げられます。しかしその中のいくつが実際にコンサートやレッスンで使われているのでしょうか?

 

ここで世界的なピアニストであるアンドラーシュ・シフの大変興味深いインタビューを紹介させてください。

 

(Frankfurter Rundschau:2015年1月28日ドイツ語)

www.fr.de

 

「ほとんどのピアニストが(ピアノに)興味がない」

 

刺激的なタイトルです。すでに6年前のインタビューですが今もなお的を得ている内容となっています。いくつかのテーマを話していますが、今回注目したいところは「ほとんどの人たちが今日耳にしている響きは一面的。素晴らしいスタインウェイが全てではない。いろんなピアノへの興味を!」というところです。シフはその後に「ホールにピアノの選択肢はあるがピアニストがそれらを弾かない」と続けています。日本の各地にあるホールではどうでしょうか、豊富な選択肢があるのでしょうか。

 

スタインウェイヤマハ、カワイで聴くベートーヴェンは一般的によく知られています。どれも疑いの余地のない素晴らしい楽器です。しかしベヒシュタインやザウター、プレイエル、ファツィオリなど、またはフォルテピアノは限られた人たちにとっては身近な存在ですが大半は聴いたことがない、もしくはその経験が極めて少ないと言っても過言ではありません。特に音楽大学のような場所は多様なピアノと共に学べる環境でありたいものです。

 

いろいろなベートーヴェンピアノソナタショパンのバラードがあっていいのです。歴史的にそれらの多様性が当たり前であったように…

 

自分自身の演奏経験からその重要性と必要性を感じています。以前ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」を東京芸術劇場で演奏した時のこと。1回目はスタインウェイで、2年後に再び演奏した際はベヒシュタインで演奏しました。当時ベヒシュタインD282でピアノ協奏曲を演奏されたことは日本ではまだなく、僕はもちろんのことオーケストラの方々、聴衆にとって初めて体感するベートーヴェンの「皇帝」でした。その違いに驚かれた(賛否を含む)多くの声が後日たくさん届きました。

 

耳、心、指に様々な体験を与えること。それがいかに演奏者の「耳」や「鍵盤への繊細なタッチ」「微細なものに反応する心の豊かさ」に影響を与えるかは疑いの余地がありません。

 

数年前に比べ少しずつですが様々なピアノに触れる機会は増えてきたかと感じます。しかしそれでもまだまだ「一面的」と言える状況であることは事実でしょう。

 

ベヒシュタインという「オーケストラが強く意識された多様な音色音質」を生み出すことのできる楽器で音楽を創造する喜び。

www.bechstein.co.jp

 

ベヒシュタイン・ジャパンの数多くあるイベントの中でもずっと大切に続けられている「特別レッスン」。次回は9月25日(土)残枠2枠、12月までございます。消えることのない大切な音体験として是非自身のステップアップにお役立てください。静かに、丁寧に、明確に、そして確実に学ばれたい方にお勧めいたします。新企画「Let's talk 10」ではレッスン後の相談の時間も設けています。お申し込みお待ちしております!

 

《お問い合わせはこちらまで》

(株)ベヒシュタイン・ジャパン 担当:泰田
E-MAIL:yasuda@bechstein.co.jp
TEL:03-3305-1211