木漏れ日の下で

ピアニスト 末永匡 オフィシャルブログ

「レッスン」という尊い時間


先日レッスン後「毎回のレッスンを最後のレッスンだと思って受けてるのよ」と生徒。


グッと心の奥が引き締まる思いになりつつも、これ以上の嬉しい言葉はない。


その生徒は、元は僕と同じ恩師に師事していた同門。ピアニストとしても指導者としても僕なんかよりずっとずっと経験が長く、深い。


謙虚で真摯に取り組み、常に自問しては色々な課題や問題点をレッスンに持ってきてくれる。


「初"志"忘るべからず」


「親しき仲にも礼儀あり」


このような揺るぎない心、品格にも溢れている。また、ユーモアもありレッスンは厳しさがありつつも楽しい。


生徒のレッスンへの心構えや、音楽に対する思い、対人コミュニケーションなど、様々な心の一面は「言葉の端々」や「演奏」でハッキリと見える。隠すことはできない。


時に、慣れることは悪くはないけど惰性が見えることもある。けど、こういう時こそ初志を忘れてはいけない。指導者の言葉や音はいつでも観れるYouTubeのようなものとは違うし、コンビニでいつでも買えるようなものでもない。


全ては"その瞬間のため"に生まれている。


空気と共に生まれ消えていく。


だから聴き逃しちゃダメだね。


もちろん肩肘を張らずリラックスして普段通りでいい。寧ろそうあるべき。けれど「普段通り」と「惰性」は全く違う。慣れはある意味とても怖い。そうなりがちなのも人のサガなのかもしれない。自分の弱さ。だからこそ忘れたくない初志。


人それぞれの音楽の在り方があって当たり前。プロを目指す、趣味で楽しむ、なんだっていい。「音楽を愛している」という点ではそこに差はないわけで。だからこそ目一杯楽しみたい。本気で遊びたい。他者と比較することなく、自分の音楽を豊かにしていけばいい、自分のテンポで、ただそれだけ。そのベクトルが定まっていれば学びの軸はブレることはない。


「…リスペクトあっての信頼とマナーよね」そんな言葉も出てきたり。これは日本人だろうが何人だろうが関係ないなぁ、と思い。彼女はこれまでどれだけの生徒たちを教えてこられたのだろうか…。


レッスン後、こんな話題を静かに語らいました。今もまだ彼女の言葉が心に残っています。