木漏れ日の下で

ピアニスト 末永匡 オフィシャルブログ

手紙を待つ時間


ドイツのとある村に住んでいる小さな女の子。


季節の折にうちの子供たちは彼女と手紙をやりとりしています。


先日その子から手紙が届きました。一生懸命に書かれた文字と絵はたくさんの気持ちを伝えてくれます。色んなことを想像し、ワクワクしながらが(ドイツ語が)何て書いてあるかを聞いてくる子供たちの表情を見ては、ふと思ったり。


連絡が簡単になった今日、気付けばLINEやMessengerの既読、返事が遅い早いなどを気にしすぎるのもなんだかなぁ、と。(便利なんだけど...)


子供たちはまた手紙を書くでしょう。そして返事を楽しみに待ちます。


僕がドイツに留学した当時、メールやインターネットはみんなが持っていて当たり前のものではありませんでした。友人たちとのやりとりは手紙。次の手紙が届くまでの間、そろそろ着くかな…と思い始めてからの数日間、毎日午後1、2時ごろに郵便配達のおじさんが黄色い自転車で家の前を通ると急いでポストを確認しに行ったものです。


ポストに何もなかった時、郵便配達のおじさんに確認しても「今日はないよ」と言われた時、肩を落として家の中に戻りシーンと静まり返った自分の部屋の中でポツンと孤独感を味わうことも、今となっては良い思い出です。


そして手紙が届いた時。こんなにも嬉しい気持ちになるとは。ワクワクして封を切る。友人の書いた字は、まるですぐそばに居るような気持ちにさせてくれる。日本とドイツの距離がなくなる瞬間。気持ちが満たされ孤独感が消える。また頑張ろうって思える。そんな思い出も。


喜ぶ子供たちを見て、相手に届いたか届いてないか「待つ」、相手からの返事を「待つ」どちらも素敵だなぁと改めて思いました。待つ時間があるから相手を思う、相手に思いを馳せる。


「時間を感じる、味わう」これらはなんて心を豊かにしてくれるんだろう。


音楽にも言えることです。