木漏れ日の下で

ピアニスト 末永匡 オフィシャルブログ

【5/24】PTNAステップ初参加in京都

さて、この日は初めてのPTNAステップアドヴァイザーとして参加させて頂きました。と言う書き始めですが、画像はステップを終えた後の打ち上げで伺った京都御所付近の路地にふと佇むお店。とても美味しくいただきました。けど…京都とJAZZとお酒ってどうしてこんなにも合うんだろう?店内も堅苦しくない、けれど清潔感と適度な高級感ある素敵な雰囲気でした。

さて、ようやくステップの話。

80名近い参加者が演奏していき、一人一人にコメントを書いていく。こんなに日本語を書いたのは何年ぶりだろうか。鉛筆を握って出来た凹みと、ほぼ筆記体の日本語は、時に解読を困難にさせました。申し訳ありません。しかしそのお陰でたくさんの漢字を正確に覚えました。

これだけの人数にコメントを書いて思ったのは「書いてる内容は共通していることが多い」ということです。まずはあの様な状況(お客様が聴かれ、舞台で一人で弾くこと)で果敢に挑戦し、最後まで演奏されていることに心からの尊敬と感謝を覚えます。舞台で一人で弾く怖さは僕も良くわかります。けれど怖さだけでなく、その一瞬にしか感じることのできない「感動」乗り越えた「充実感」は、その怖さや不安以上にあったかと思います。

トータル約10時間ほどの審査なのですが、途中トークコンサートをさせて頂きました。今回は参加者のためにBechsteinSteinway、Bösendorferの3台が用意され、それぞれの特長や、様々なメーカーを弾くことについてなどの話をしました。これがまた大変興味深かったのですが、トークコンサートの前まではほとんどの参加者がSteinwayを選んでいたのですが、トークコンサート後は偏ることなくBechsteinやBösendorferを選ぶ参加者もいたこと。

後で参加者から色々と話を聞いてみると予想通り、弾きにくかった方や弾きやすかった方などがいらっしゃいました。

「弾きにくかった…」これは否定的に捉えるべき事でしょうか?そんな事はありません。実はここがとても大切なんです。弾きにくいことを「楽器のせい」にしてしまいがちですが、演奏者のコントロールの問題でもある事を省いて考えてはいけません。打鍵におけるコントロールの能力の不足、でもあるのです。

人は経験を重ねるにつれ「慣れて」いきます。「弾きにくい」ことに出会うということは「それに慣れることによって拡張するスキル」をも意味しています。要するに「タッチの種類が増える」ことなのです。弾きにくい、と感じた瞬間、タッチの種類が増えてくるための「チャンス」を見つけたことでもあるのです。学びの基本姿勢。知らないことを知った瞬間知るためのチャンスを得た、と同じことです。

ですから「弾きにくい」と感じたら、ぜひこの機会に何度も試弾して下さい。楽器との対話を深めて下さい。今まで持っていなかったタッチの引き出しが必ず増えます。

今は「タッチ」についての話でしたが、もちろんそれだけではありません。「聴く力」も同様です。ピアノも、メーカーや型、年代によってその「音色」は異なります。固有の声を持っています。そして「聴く」ことと「弾く」ことは連動しています。当たり前と言えば当たり前なのですが…。

色々なピアノがあるからこそ弾いてみましょう!多様な音色の世界に足を踏み込み、楽器との対話を深めていきましょう!

…のようなことを話したり感じたり。

ステップは初参加でしたが、ベテランの先生方に助けられ、なんとかこの日を終えることが出来ました。全ての関係者の皆様に心から感謝申し上げます。

打ち上げのお店では、画像にある様に名前入りでメッセージがありました。粋ですねぇ( ´ ▽ ` )

長くなりましたが最後に一言。この関西滞在で出会った音楽を愛する方々(プライベートレッスンにお申し込み頂いた方々、PTNAステップにご参加され、直接お声がけ下さった方々など)との再会を心から願っています。

初めてお会いしたのにも関わらず「次回こちらに来られる際はレッスンお願いします!」と嬉しいお言葉を頂いた時は感謝と同時に、そこまでの積極性に感銘を受けました。ありがとうございます!ブログからでも気軽にご連絡頂けましたら幸いです。

教えることは学ぶこと。半学半教。終わりはありません。だから最高にワクワクして楽しいです。