beethoven piano sonata no.8 op.13, 2nd mov. Grande Sonate pathétique |
「言葉を失う」とはまさにこのことでしょう。
adagioの世界が提示している音楽世界は、私たちが想像しうる全ての言葉を使ってもそこにたどり着けるものではないのかもしれません。
第21回《分析と表現》ベートーヴェンクラスシリーズ4-1を終えました。
終了後、沈黙と共に残る感情の深み。同時に「分析をすればするほど作品から遠ざかっていく」そんな感覚も。我々がしていることは分析という言葉ではなく、もっと別の何かなのでしょう。
楽式論や和声学はもちろん大切です。しかしここでは本に載っているようなことよりも「ここにはどんな意味があるのだろう?」と「各々が作曲心理を問う姿勢」を大切にしながら歩んでいく、それが僕らが求めている《分析と表現》という場所。
1973年にハーバード大学で行われたバーンスタインの講義。彼は何度も自分自身、もしくは受講生たちに問いかけ続けています。そんなシーンを思い出したり。
記譜されている音符と音符にある空白に見るもの、感じるもの。そこには音楽にとってとても大切なエッセンスが詰まっていて、私たちはこの時間でそれを見ているのでしょうか。
早速、受講者の皆さんから「どの声部の音楽も全てが緊張と調和を生み出している」「出だしですでに胸がいっぱいになるほどのドラマと感情。最後にはどれほどの気持ちの高ぶりを感じるのだろうかと怖いような気も」などのご感想が届き、じんわりとした気持ちを胸に何度も読み返しています。
今回は他にもこんな作品も話題にあがりました。さて、動き出した悲愴の2楽章の旅。次回はどんな展開が待っているのでしょうか。
Beethoven piano concerto no.5 op.73, 2nd mov.
Barber adagio for strings: String quartet op.11, 2nd mov.
Mahler Symphony No.5, 4th mov.