木漏れ日の下で

ピアニスト 末永匡 オフィシャルブログ

レクチャーコンサートを終えて

ユーロピアノ八王子工房
レクチャー後
【心からの感謝】

第7回工房レクチャーコンサート終演後誰もいなくなった工房。ついさっきまで溢れていたあの熱気に思いを馳せつつ帰宅直前しばらく見つめていました。

台風の近づく中、予約名簿の半数でも来て頂けたら御の字と思っていましたが、ずぶ濡れになりつつもご来場頂き満席の中レクチャーを始める事が出来ました。心よりお礼申し上げます。ありがとうございました!

途中休憩を挟みましたが終始質問を頂き、皆様からの好奇心の強さを改めて感じました。結局休憩は無い状態で前半後半と立て続けにレクチャーは行われた感じですが、最後の最後まで集中力の途切れる事のない、工房の中に満ちた空気感は素晴らしいものでした。

壮大なテーマゆえに一回や二回のレクチャーで腑に落ちないこともあろうかと安易に推測します。そして進行中割愛せねばならない所も多々あり心苦しく感じますが、それでも皆様に「なぜだろう?」という壮大な世界の広がる一歩手前に存在する「扉の存在」、それを開けるかもしれないきっかけになり得たらそれこそ我々の本望です。もし疑問や更なる好奇心を抱かれましたら是非検証し、そして新しい気づきなどありましたら是非私たちにも教えて下さい!

史実を追うことも勿論大切ですが、この「音律シリーズ」はそれが目的ではありません。そこで得たヒントを普段平均律で調律されたモダンピアノでの演奏にどうフィードバックするのか?が目的です。だからこそ一人一人の感覚、思考が大きな財産、糧となるのです。

ミーントーン、キルンベルガーだけでなく古典調律は数多く存在します。それらの音律がどのような姿をしているか、そしてそれらのフィルターを通すことによって見えてくる楽曲の音風景。想像するだけでワクワクしませんか?私達はワクワクします。そしてモダンピアノという楽器の持ちうるポテンシャルをさらに引き出すことが出来る、自身に眠る感覚をさらに目覚めさせることが出来ると信じています。

地道な検証を何度も重ね、意見を交わし決して妥協せずそれを追求し、膨大な(それでも大洋に沈む砂粒程度のものですが)資料に目を通し・・・その瞬間瞬間が全て学びでした。無駄なものは一つもありませんでした。その度に楽譜が全く違う物に見え始め、記譜されている音符がまるで言葉のように語り始めてくる、という表現は決して過言ではありません。

音律だけでなく、美学的、楽器学的観点からも織り交ぜながらのレクチャー。非常に刺激的で創造性豊かな時間となったことは特記したいと思います。

ご来場頂きました皆様、場所や楽器のみならず社員総出でご協力下さいましたユーロピアノ㈱様、そして工房コンサートメンバーの仲間、関係者全てに心より感謝申し上げます。ありがとうございました!

次回は2015年3月1日(日)、テーマは(とうとう!)「ベートーヴェンの音風景(仮名)」です!ご期待下さい!

P.S.今後の検証の様子は随時ブログ、FacebookTwitterなどで発信します。