木漏れ日の下で

ピアニスト 末永匡 オフィシャルブログ

サンソンを観劇

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SANSON

SANSON ールイ16世の首を刎ねた男ー をKAATで観劇。 

sanson-stage.com

常に訴えられ、問われ、深い激動の感情が渦巻く時間。

 

こんなにも心の中がこれ以上ないくらいにドラマチックに反応しているにも関わらず、伝えたい「言葉」は着地点を見つけることができぬまま僕の中で虚しく浮遊している…。全てにおいて「凄み」があり圧倒されました。

 

役者の迸るパワー。それは決して大きな声や動きだけでなく、繊細な声色、間、指先や目の微妙な表情にも強烈に流れ込んでいて…そこに感じるのはもはや演技を超えた「(今そこに実在する)命」そのもの。時に「僕も一市民としてその場にいる」そんな感覚にも。その世界に僕は強烈に引き込まれました。

 

そして、やはり自分の職業柄ベートーヴェンとの比較も考えてしまうわけで。

 

サンソンは1739年生まれ。

ja.wikipedia.org

 

ベートーヴェンは1770年生まれ。

ja.wikipedia.org

 

フランス革命ベートーヴェンにとってもか欠かせない出来事。ルイ16世が処刑されたのは1793年。「ベートーヴェンがウィーンへ行ったのは1792年だからその翌年かぁ」とか「◯◯を作曲している頃かなぁ…」など観劇しながら思ったり。

 

www.no9-stage.com

 

No.9を思い出しては、二人(サンソンとベートーヴェン)の感情の行方に思いを馳せ。この激動の時代、この二人だけでなくその時に生きた人間一人一人に強烈なドラマがあるんだよな、と改めて。もちろんこれはフランス革命期に限らずだけれど。一人の人生にスポットを当てて見えるものが何と多いことか…!


白井さんの演出、中島さんの脚本、三宅さんの音楽、稲垣さんはじめ役者の皆さんの演技、そしてそれらを支えている多くのスタッフの方々全員の情熱の集約を感じました。全ての関係者に最大の拍手と感謝をもう一度ここで送りたいと思います。

 

素晴らしい時間をありがとうございました!