Mozart piano concerto KV488 |
焦ってもすぐにできるようにはならない。
落ち着いて、丁寧に進めていくこと。
大抵のことは時間がかかるからこそ、じっくりと地中深くまで水が浸透していくように「経験」という栄養を与えていく必要がある。いつ芽が出るかはわからないけれど。
すぐその場で答えがほしい、すぐにできるようになりたい(その気持ちもわかるけどね)、そう思う人は多いのか、そういう人に限って結局じっくりと取り組むことはできない。焦ってしまう。
考え、咀嚼し、ゆっくりと理解に導き、練習を重ね、少しずつ少しずつ…。
上達とは薄皮一枚一枚を重ねていくようなもの。
途中は実感がなくともある時に気がつくと分厚い本ができている。
「これを聴くといいよ」
聴かない。もったいない。
「これをやるといいよ」
やらない。もったいない。
「やります!」
やらない。もったいない。
学ぶこと、大切なことは「信じる」こと、なのかもしれない。
ある生徒は今モーツァルトのピアノ協奏曲を勉強中。オーケストラスコアの読み方から、同時にチェロとの室内楽や、様々な楽曲を知ってはたくさん聴いたりと、様々な側面から音楽を学んでいる。
悩んで苦しい時もあったけれど、少しずつ、諦めず信じて取り組んできた結果、ようやく色々と繋がりはじめ「楽譜を読むことの楽しさ」「シンプルゆえの難しさ」を知り、勇気をもって次の世界への扉を開こうとしている。
僕自身そんな生徒から刺激を受けないはずがない。
そんな彼女の演奏を聴いる時、心の中でいつも「ありがとう」を思うのです。