木漏れ日の下で

ピアニスト 末永匡 オフィシャルブログ

『制約が与えたもの、オンラインと対面の共存』

大学が対面レッスンに変わってから2週間。この2週間は感染者数の様子を見てましたが来週から僕にレッスンは本格的に対面レッスン開始。通常のレッスン(1対1)は比較的気になりませんが、アンサンブルの講義は密室でのグループとなるので全員での積極的な発言は制限されるなどの工夫が要求されます。本来ならば質の高い言葉のやり取りは室内楽をする上で(もちろん室内楽だけではないですが)極めて需要なことだけれど、現状では仕方ないことなのでしょう。
 
こうやって対面に移行していく中、オンラインでの時間に思いを馳せたり…
 
オンラインでは楽器が十分に発揮されないという制約があるので、色々と考えた結果、演奏を含めつつも楽譜と向き合い分析で音楽を深く考察することに重点が置かれていました。(100%分析に当てているものも)これがまた功を奏し、普段どれだけ楽譜をよく見ていないかに気づかされます。ピアノが目の前にあると、より深く考えることなしに弾いてしまうのです。
 
もちろん演奏することが最終的な目的なのですが、頭をフル回転し、感情という面で自分自身と対峙する行為そのものの濃密度が上がることはオンラインの制約の中だからこそ生まれた結果と言えるでしょう。中にはもう少しオンラインでの分析を進めたいという学生たちも。楽器から離れることがいかに大切か。そこに見る音楽の景色は全く違います。音楽を深める大切な「方法論の一つ」なのです。
 
普段、楽器と対峙しつつもそのくらい楽譜を見入ることが望ましいですが…。
 
受け持っている学生たちの1/3が留学生ですが、よくこの分析を日本語でついてこれるなぁと感心。そして質問を投げかけても誰一人として沈黙に逃げない。うーんうーんと一生懸命に考える。必ず自分の考えやアイデアを出してくる。みんな必死。見習うべき学びへの姿勢です。コロナがなければ、誰でも聴講しにきてほしいし、全てのレッスンを公開にして学生たちとシェアしたいくらいです。
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